「AI・VR・インバウンド」はネガティブコンテンツ? 大激戦の横須賀市長選・有力女性候補者の信じがたい「昭和な価値観」を問う【林直人】
■39歳トップ当選女性市議の信じがたく昭和な価値観
「そもそも、このチラシは高齢者向け、あるいは子どもからゲームを取り上げる教育ママ向けに書いてあるものです。AIってなんか怖い、VRってなんか怖い、ゲームは有害だからとりあえず取り上げておこう、そういう明治時代に電話が怖いからと言って電線を切ったような守旧派向けのチラシと言えるでしょう」(横須賀政界関係者A)
39歳のトップ当選市議がこのような信じがたく昭和な価値観に基づくチラシを配布しているのはなぜだろうか。
ここで、横須賀市の人口推移を見ると、2025年の段階で、現役世代(15歳-64歳)は214,067人、老年世代(65歳-)は121,201人。市長選挙の投票率がだいたい3割であることや年代別の投票率の違いを考えると老年世代にウケがいい政策を出せば当選するという計算があるのかもしれない。
「現職の上地陣営の政策は上地市長本人が息子世代(30〜40代)の意見をバンバン取り入れており、AI・VR・最新政策のオンパレードです。一方で10年以上前にアメリカ一の公立大学であるUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で学んだ39歳の女性候補が出している政策がAI・VRといったここ最近の最新技術をことごとく否定するものであることは興味深いことでしょう」(横須賀政界関係者A)
そもそも、野党陣営にこうした明治時代に電話の電線を切ったような最新技術を認めない守旧派が集まるのはなぜだろうか。この稿では、そうした政策の背景にある与野党の選挙事務所に集まる人達がどのような人たちなのか、与野党の候補者はそれぞれどんな戦略で運動員を集めているのか、なぜ革新をリードすべき野党陣営の候補者がイスラム過激派のような超保守派の政策を掲げるのかについて考えていきたい。
■AI・VR・NintendoSwitchはネガティブコンテンツなのか?
そもそも、AIやVR、NintendoSwitchはネガティブコンテンツなのか?
それぞれについて考えてみよう。
まず、AIの導入についてだが、これはこれからの社会で導入は不可避だ。なぜか。中央省庁でキャリア官僚としての経験がある関係者に聞いた。
「私が入省したときは朝5時まで勤務がありました。朝9時に出勤して朝5時ですよ。今でも新しく立ち上がる省庁などでは五十歩百歩の勤務形態だと思います。当然そんな職場を志望する大学生は年々少なくなりつつあります。そうした中で、優秀な人材が様々なAIを使って自分の仕事を進めていく”AIエージェント”になることはもはや不可避です」(元キャリア官僚B・本庁勤務経験者)
VRについてはどうだろうか。
「やはり行政の仕事は移動時間が長かったり、複数の関係者が同行して現地視察しなければならない、それらが終わった後にデスクワークをしなければならないのが勤務時間の肥大化に繋がります。VRの導入はこうした移動時間を短縮し、朝9時に出勤して、夜18時には退勤して、横須賀駅前で音楽を楽しんだり、自分自身が音楽のプレーヤーになったり、一杯ひっかけたりする、そういうワークライフバランスの充実に繋がります」(元キャリア官僚B・本庁勤務経験者)
NintendoSwitchはどうだろうか。
「民間企業の一商品です。民間企業がやることにとやかく言う必要はないでしょう。民間でできることは民間でやる、民間活力を十二分に活かす。これが純一郎さんのときからの横須賀のレガシーです。横須賀の日産・追浜工場が撤退するなど日本の自動車産業が壊滅的な打撃を受けている中でアニメやVRは日本がほとんど唯一伸ばしていける輸出産業です。対立候補はインバウンドの受け入れにも反対していますが、アニメを潰して、インバウンドを潰して、日本がこれからどうやって外貨を稼いでいくんですか」(横須賀政界関係者A)